Design Office io

「今日まで忘れていた世界に
気づかせる。」

アートを日常の中で身近に感じている人は少ない。

美術館で触れるような何か特別なものと思っている人が多いだろう。



アートは特別難しく理解するようなものではない。

鑑賞した人をそのままうつす鏡だ。



そう、すごくシンプルなんだ。

その人の持つ哲学や、思想を反射させる。



アート作品を見たときに、

例えばもし「ギュッ」とした気持ちになったのだとしたら、

それが現時点でその作品を通して鑑賞者が生み出した答えだ。

それを紐解いていき自分と対話することで、

日頃は気づかなかった、

あるいは無意識の中に隠していた自分の本質を発見する。



ちなみに、なぜ現時点かというと人は常に変化し続けるからだ。

鑑賞者は生きている。



もしかしたら何年後かに同じ作品を見たなら、

別の思想を生むかもしれない。



だから現時点の鑑賞者が見つけた答えという言い方をする。



見た人が「どう考え、どう見るか」

つまり、自分がどういう人生を生きたいのか。

どういう人間として生きていきたいのか。



自分が生きている社会や人と、どうかかわりたいのか。

ということを、アートはただ静かに問いかけている。





作品を生み出す側も、それは同じだ。



私はデザイナーと名乗る前、アーティストとして活動していた。

この世界で、自分が何をどう考え、どう生きたいのか。



そういったことを何度も何度も何度も何度も自問自答し、

考え続け、 作品という目に見えるカタチにアウトプットしていた。



作品を作って誰かに何かを伝えたいとは微塵も思っていなかった。

そして生み出した後も考え、自分に問い続けた。



あるいは、他のアーティストが生み出した作品に触れ、

違う角度から自問自答するときもあった。



これが本当に、私の出す答えがカタチになった作品なのだろうかと。

探し、迷い、確かめるすべはなく、答え合わせはできない。



それはすごく孤独で、どこまでも自分と自分だけのふたりっきりの作業だ。





作品を作ること、あるいは見ることによって生まれた、

自分の想いや考え。



それがその人だけのアートを通して見つけた、

ひとつの答えなんだ。

だから、アートには正解も不正解もない。



この世界には全てが正しい人も、

あるいは間違った人もいないのだから。



モノが溢れ多様化は更に加速し、

価値も未来も不透明な混沌とした世界で、

道しるべのような存在になってくれる。



こんな時代だからこそ求められる、揺るぎない自分というモノサシが、

鑑賞者の中に確かにあることを気づかせてくれるのだ。



自分自身を取り戻す力。

自由な自分を認める一種の覚悟のようなもの。





アートは、私たちを支えてくれる。



見る人に問いかけ、心を揺さぶり、

唯一無二の価値を持つアート。



今はこのアートが持つ性質をデザインの設計能力と掛け合わせて

オフィスイオのコンセプトとしている。



ふたつを掛け合わせることで、

人の心を揺さぶるデザインを作ることができた。



アートとデザインはそれぞれ別物としてカテゴライズされてきたけれど、

双方の境界線に立つことはできると思っている。



例えば、何千人もが目にする広告が

「アート×デザイン」で作られたものだったらどうだろう。



フレームは広告という媒体だけれど、

何千人もの心を揺さぶる瞬間があるかもしれない。



もちろん広告だけじゃない。

デザインが使用される媒体全てだ。



そんなものを作り広め続けることで、

世界に道しるべのような光を増やしたいと思っている。



それを人から求められる。

こんな幸せなことはない。

文:ハナ